機能的脳神経外科とは
あまり聞きなれない言葉かと思いますが、手足のふるえ(振戦)やパーキンソン病・ジストニア(痙性斜頸を含む) をはじめとする 不随意運動、脳卒中などの 神経損傷後の難治性疼痛(視床痛など)、交通事故後の遷延性意識障害(植物症)などに対する外科治療を行う分野です。主に、脳や脊髄に微弱な電気刺激を与える体内埋め込み型の刺激装置を使って治療を行います。
特に脳深部電気刺激療法(DBS)は、手足の震えやパーキンソン病の患者さんに対しては、平成12年に保険適応となっており、既に日本国内では1,000人を超える患者さんが、この治療を受けております。薬を飲んでいるけれども、日内変動が激しく動けない時間が生じている場合や、薬の副作用(幻覚・ジスキネジアなど)で十分な量の薬が飲めない場合などで、日常生活にご不自由を感じていらっしゃる場合に、よい手術適応と考えられています。現在のところ、当院ではヤール分類3以上を適応として治療していますが、振戦の強い患者さんはその限りではありません。(一側性でも治療の対象となります。)
また、脳卒中や交通事故などにより、神経系が傷ついた場合、暫くして、シビレ感とともに頑固な痛みが現れてくることがあります。「求心路遮断性疼痛・中枢性疼痛」と呼ばれる難治性疼痛で、なかなか薬が効きません。手足の感覚が鈍っている部分に、シビレ・痛みが生じてくるのが特徴です。この場合、脳や脊髄に刺激電極を埋め込んで、外から刺激を加えることにより、痛みを軽く穏やかにすることができます。
当院では、平成15年11月にこれらの治療を開始し、これまで多数のパーキンソン病患者さんに手術を行っています。また、中枢性疼痛に対しても脳脊髄刺激療法を行っています。
パーキンソン病の重症度分類(Hoehn & Yahr 分類)
Stage I | 症状は一側性で、機能障害はないか、あっても軽微。 |
Stage II |
両側性の障害がある。姿勢保持の障害はない。日常生活、職業は多少の障害はあるが行いうる。 (※手足の震えや固さが両側にみられる状態) |
Stage III |
立ち直り反射に障害がみられ、活動は制限される。しかし、自分での生活が可能である。 (※歩行時の転倒しやすさが加わった状態) |
Stage IV |
重篤な機能障害を有し、自力のみの生活は困難となる。しかし、支えらえれずに歩くことはどうにか可能。 (※歩行はどうにかできるが、日常生活全般での介助必要な状態) |
Stage V |
立つことが不可能となり、介護なしにはベット、車イスの生活を余議なくされる。 (※1日を通して、ベット上、あるいは車イスでの生活) |